- 目盛環の仕様変更
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目盛環の色が緑→白に変更なります。
これまで機械彫刻に緑の塗料を入れてましたが、これからはレーザー彫刻になり白くなります。黒アルマイトの表面をレーザーで削るようにして刻み、目盛りは素材のアルミの色が出てきます。現在、両方の仕様が流通してますが、徐々に新型に入れ替わっていきます。
Unitec(ユニテック) 赤道儀・架台 SWAT-310
SWAT-300の後継機、「赤経恒星時目盛環」を採用
外観は上級機のSWAT-350とソックリですが、「赤経恒星時目盛環」を採用したことが大きな違いとなっています。赤経恒星時目盛環は、現在のところ高級赤道儀にしか採用されていない機能で、目盛環を基準星で合わせれば、以後恒星時運転させている限り、常に正しい赤経座標を表示し続けます。SWAT-310の場合、赤緯にも目盛環付きの「回転ユニット」を使っていただくことで、目盛環を見ながら目的天体の座標に合わせれば、いとも簡単に導入できるようになります。特に暗い彗星などを目盛環だけで導入できる便利さは、最大のメリットと感じることでしょう。また、モデルチェンジにあたって、極軸のベアリング構成を見直し、新たに外径62mmの大型ベアリングとスラストベアリングを追加。耐荷重性能をSWAT-300の8kgから約10kgへと向上させています。追尾精度はこれまで同様、全機実測にて±7秒角前後を保証。最近の極めてシャープな光学系でも焦点距離200~300mm程度までならノータッチ追尾が可能です。もちろん、長焦点撮影ではST-4互換のオートガイダーに対応していますので、撮影の幅が大きく拡がります。
主な特長
■素材にもこだわった大型ウォームホイール
ウォームホイールのサイズは追尾精度に直接影響する重要な要素です。SWAT-310のウォームホイールには中型赤道儀並みの直径105mm、歯数210枚の大型ホイールを採用し、驚くほどの追尾精度を実現します。また素材にはジュラルミンを採用。組み立て時に高精度研磨(エイジング処理)することにより、とても滑らかでスムーズな回転が得られます。
写真は高精度研磨前(上)と研磨後(下)の歯面の状態です。研磨後はウォームネジの曲面に会わせて、鼓状のRが綺麗についているのが確認できます。ジュラルミンウォームホイールならではのスムーズな回転を約束します。
※画像はSWAT-200のものです。
■高剛性を実現する贅沢なアルミ削り出し筐体
アルミ合金削り出しの贅沢な筐体を採用しました。一般的なメーカーでは、筐体部分をアルミの鋳物やダイキャストで製作して、必要な部分を加工してから、極軸などの内部部品を組み込むことが通常の方法です。ユニテックでは圧倒的な加工精度が得られる無垢のアルミ合金(押し出し材)からマシニング加工により筐体を削り出しています。のような時間のかかる生産方法はコストがかかる上に効率が悪いため、通常は行われません。少ロット生産メーカーだからこそ可能な非常に贅沢な仕様になっています。もちろん、強度も高く、搭載可能重量は約15kg(ターンテーブル直付け位置)とポータブル赤道儀としては驚異の仕様となっています。
■多彩な速度切り替えを実現した両半球対応のマイコン制御モータードライブ。オートガイドにも対応
SWAT-310に内蔵されたモータードライブには最新のマイコン制御のステッピングモーターを採用し、多彩な速度切り替えを実現しました。また、本体パネルにはオートガイダーにも対応たリモートコントロールの接続端子を装備しています。オートガイダーを使用することでピリオディックモーションを大幅に低減させ長焦点での星野撮影に威力を発揮します。速度モードは、恒星時(キングスレート)のほか、太陽時、月時、2倍速、0.67倍速、0.5倍速、東西各16倍速を装備。0.67倍速、0.5倍速は「星景モード」として搭載しています。0.67倍速は、0.5倍速より星の動きに重点を置いていますので、地上より星の流れが目立つ0.5倍速より美しい星景写真が楽しめます。高速側は16倍速を採用しています。望遠鏡搭載時の天体導入に威力を発揮するほか、1時間半でウォームホイール1周の慣らしが行なえます。
SWAT-310で新たに採用されたのがモードインジケータです。電装基板には緑、黄、赤の3色に変わるLEDが装備され、点灯、点滅によって追尾の状態を表示するようになっています。LED表示で工夫した点は、「緑」は恒星時運転でのみ使用され、ユーザーはモードインジケータの「緑」をチェックするだけで、恒星時運転していることを確認でき、安心して撮影に専念できます。
■時角目盛環を備えた大型ターンテーブルを採用
一般的なポータブル赤道儀の勘合部分は、カメラなどの荷重がかかると取付ネジを緩めてもスムーズに回転させることが困難な単なる勘合として設計されています。本機のターンテーブルは、通常の赤道儀と同様にクランプによってスムーズな粗動回転を可能にしています。ターンテーブル表面には、様々なアクセサリー群に対応するネジ穴があらかじめ開けてありますので、ユーザーが自由にご利用いただけます。また、メインクランプは真鍮削り出しクロームメッキ仕様の大型で使いやすい形状をしています。さらにSWAT-310の極軸には時角目盛環が装備されいます。赤緯軸に角度目盛り付きの「粗動付微動回転ユニット」を組み合わせることで、昔ながらの目盛環で天体を導入するユーザーには便利な機能です。
■上部左右と右下に配置された北極星覗き穴
上部の北極星覗き穴は、オプションの極軸望遠鏡取り付けネジと兼用になっています。利き目が左右どちらでも不便がないように左右の2箇所に視界約10度の覗き穴を、さらに視界約7度の覗き穴を右下に設けた親切設計です。(オレンジ色の矢印)この覗き穴の中心に北極星を入れるだけでも焦点距離100mmのレンズを3~4分追尾できる設置精度に極軸セッティングできます。デジタル時代になって大幅に露出時間が短縮された現在。極軸の設置精度もそれにともなって緩くてすみます。極端な例ですが、フィルム時代の10分の1の露出なら極軸の設置精度も10分の1で構わないのです。
■タイムラプスムービー撮影に対応した背面カメラネジ
SWAT-310の背面には、タイムラプス撮影用にカメラ太ネジに一般的なカメラ三脚の1/4インチカメラネジに変換するステンレス製太ネジアダプターを装備しています(背面の画像の緑の矢印)。オプションなどを使用することなく、ターンテーブルを上方向に向けることができますので、タイムラプスムービー撮影にチャレンジするユーザーには便利にお使いいただける装備です。
■SWAT-310の性能を引き出す充実のオプション群
オプションとして暗視野照明装置つきの極軸望遠鏡やゴニオ式極軸微動ユニット、ドイツ式赤緯ユニット、シンプルフォークユニット、ダブル雲台ベース、アリミゾ、テーパーシステム、微動/粗動回転ユニット、オートガイダー(ST-4互換)対応のリモコン、アルミ削り出しの卓上スタンドなどをご用意しています。組み合わせてご使用いただくことで、ユーザーのニーズにマッチしたスタイルを構築できます。
[→オプション・アクセサリはこちら]
目盛環による導入精度は、200mmクラスの望遠レンズなら、ほぼ中央付近に捉えることが可能です。導入後、試写して微調整すれば、効率のよい撮影を実現します。テストした結果では中心から1度以内のズレで導入できました。下に180mm望遠を使って目盛環導入したサンプル画像を掲載します。参考のため位置の微調整は行っていません。バラ星雲、カモメ星雲、M35散開星団と順に導入しました。これくらいの精度で写野に捕らえることができます。
自動導入がなくても、赤経恒星時目盛環ならとても簡単に天体導入が可能です。高速でモーターを回して追尾の要であるウォーム周りに負担をかけることもありません。ポータブル赤道儀では世界初の機能と思います。 |
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■撮影データ ・バラ星雲 2018年3月17日20時25分~撮影地 千葉県大多喜町 シグマ APO MACRO 180mm F2.8 DG 絞りF3.2 キヤノン EOS 6D(HKIR改) ISO1600 90秒露出×9枚コンポジットSWAT-310でノータッチ追尾 Photoshopで画像処理 撮影:ユニテック 加曽利哲也氏 |
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■撮影データ ・カモメ星雲 2018年3月17日20時47分~撮影地 千葉県大多喜町 シグマ APO MACRO 180mm F2.8 DG 絞りF3.2 キヤノン EOS 6D(HKIR改) ISO1600 90秒露出×9枚コンポジットSWAT-310でノータッチ追尾 Photoshopで画像処理 撮影:ユニテック 加曽利哲也氏 |
■撮影データ ・M35 2018年3月17日21時07分~ 撮影地 千葉県大多喜町 シグマ APO MACRO 180mm F2.8 DG 絞りF3.2 キヤノン EOS 6D(HKIR改) ISO1600 90秒露出×9枚コンポジットSWAT-310でノータッチ追尾 Photoshopで画像処理 撮影:ユニテック 加曽利哲也氏 |
形式 | 星野写真撮影用小型赤道儀 | ||
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追尾 | 恒星時(キングスレート)、平均太陽時、平均月時、2倍速、0.67倍速(星景写真用)、0.5倍速(星景撮影用)西行16倍速、東行16倍速、の8モード切替/北半球・南半球対応/3色LEDによるモードインジケータ付 | ||
ギヤ | ウォームホイールによる全周微動/直径106mm・歯数210枚/ジュラルミン製 | ||
追尾精度 | ±7秒角前後 | ||
極 軸 | 直径40mm、アルミ合金製、直径40mm大型ベアリング2個と小型ベアリング1個の支持、赤経恒星時目盛環付 | ||
駆動 | マイコン制御によるステッピングモーター駆動 | ||
極軸望遠鏡 | 視界約10度と約7度の素通し穴/外付け極軸望遠鏡症着可(別売) | ||
電源 | 付属電源ボックスは単三電池×6本/Ni-MH充電池、Ni-Cd充電池にも対応 | ||
電圧 | DC6V~DC12V(推奨9V)/消費電流約160mA(9V時)、付属電源ボックスの単三電池6本で約10時間駆動 | ||
大きさ | 縦181mm×横118mm×高さ92mm (三脚アダプター、ネジ類の突起部を除く) | ||
質量 | 約2.4Kg | 搭載可能重量 | 約10kg |
その他 | 別売アクセサリーとして、リモコン・ハンドボックス(オートガイダー用モジュラー端子付き)、外付け極軸望遠鏡、極軸微動ユニット、ドイツ式赤緯ユニット、ダブル雲台ベースなど多彩なオプションをご用意しています。 | ||
本体色 |
・トワイライトブルー塗装仕上げまたは ・ブルー/シルバーツートンアルマイト仕上げ |
SWATにはSWAT-350/310/330の3つの機種があります。
- ・SWAT-350はユニテックSWATシリーズを代表するモデルです。 最も高性能で標準的な性能を有しています。
- ・SWAT-310は常に正しい赤経座標を表示する「赤経恒星時目盛環」を装備した手動導入対応モデルです。
- ・SWAT-330は製造過程の効率化を図り、低価格を実現した量産型モデルです。
さらに追尾精度(Pモーション)の違いによって、SWAT-350にはノーマル/V-spec/Premiumの3グレード、SWAT-310にはノーマル/V-specの2グレードがあります。(Pモーションとは追尾速度のゆらぎの大きさで、この数値が小さいほど追尾精度は良くなります。)
SWAT-350 | SWAT-310 | SWAT-330 | |
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グレード | ノーマル/Vスペック/ Premium |
ノーマル/Vスペック | ノーマル |
Pモーション | ±2.8~7″ | ±4.5~7″ | ±6.5~14″ |
耐荷重 | 15kg | 10kg | 15kg |
赤経恒星時目盛環 | × | 〇 | × |
各機種のPモーション値と2~3分露出まで星像がほとんど流れずに写せるレンズ焦点距離の目安
公称 Pモーション値 |
適切なレンズ(焦点距離) | |
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SWAT-330・ノーマルモード | ±14″ | 中望遠レンズ (100mm程度) |
SWAT-330・スペシャルモード | ±6.5″ | 望遠レンズ (200mm程度) |
SWAT-310/350 通常モデル・ノーマルモード |
±7″ | 望遠レンズ (200mm程度) |
SWAT-310/350 通常モデル・スペシャルモード |
±5.5″ | 望遠レンズ (250mm程度) |
SWAT-310/350 V-SPEC・ノーマルモード |
±5.5″ | 望遠レンズ (250mm程度) |
SWAT-310/350 V-SPEC・スペシャルモード |
±4.5″ | 望遠レンズ (300mm程度) |
SWAT-350 Premium・ノーマルモード |
±4.5″ | 望遠レンズ (300mm程度) |
SWAT-350 Premium・スペシャルモードモード |
±2.8″ | 超望遠レンズ (500mm程度) |
※上記表の適切な焦点距離は、画素サイズ約6.5μmのEOS 6Dを使用した際、ウォーム1周(約7分間)のPモーションの量から振れ幅が2ピクセルのズレまでを許容して単純計算した上限の焦点距離です。実際には極軸設置誤差・大気差・たわみなどの外的要因が加ってさらにズレが大きくなりますので、2~3分の露出までであれば、星像がほぼ流れずに写せるでしょう。高精細C-MOSカメラや最新の高解像レンズをご使用の場合は、もう少し厳しくみる必要があります。逆に星像を拡大してピクセル単位で厳しく見るようなことはせずに、横サイズ2000ピクセル程度まで縮小して鑑賞するような場合は、もっと甘くても問題ありません。
※実際の撮影結果は、極軸設置誤差・大気差・たわみなどの外的要因、レンズ解像度(星像サイズ)、シーイング(シンチレーション)にも左右されます。
■作例
中望遠 100mmクラス 「エンゼルフィッシュ星雲」 |
望遠 200mmクラス 「ぎょしゃ座の散開星団」 |
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望遠 250mmクラス 「IC2177カモメ星雲」 |
望遠 350mmクラス 「アンタレス周辺」 |
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望遠 500mmクラス 「M42オリオン大星雲」 |
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▲クリックで拡大 撮影:Unitec株式会社 加曽利哲也氏 |