手軽に楽しめるバードウォッチング
カバー写真:この鳥を見てバードウォッチングを始めたという人も多い人気の鳥カワセミ
「バードウォッチング」には、歩くことによる適度な運動効果と野鳥の声を聴いたり、姿を観察する事による癒
しやリフレッシュ効果が期待できます。
日常生活に「バードウォッチング」を取り入れることで、野鳥たちの可愛い姿、美しい姿を見て楽しむだけでな
く、 鳥を探して歩くことで、 自然と健康を維持することにもつながり、 「「バードウォッチング」 は一石二鳥の趣味
と言えるかもしれません。
◼️身近に野鳥はくらしています
普段生活をしていて「「鳥」というと「「スズメ・ハト・カラス」くらいしかいないと思うかもしれません。ところ が、ほんのちょっとでも「いるかもしれない!」と気をつけて見るだけで、今まで「なんだスズメか…」と思っ ていた鳥が、実は違う鳥だということに気付くことがバードウォッチングの第一歩です。また、季節によって見 ることのできる野鳥の種類が変わっていくのも、バードウォッチングの面白いところです。
写真:なんだスズメか…なんて思わずに、よくよく目を向けてみると表情やしぐさが魅力的です 。
◼️耳をすましてみよう
「バードウォッチング」=「「野鳥を観察すること」と思うかもしれませんが、特に樹のある場所でバードウォッ チングをする時は、すぐ目に見える場所に野鳥が出てくることはほとんどありません。バードウォッチングの 8 割は、 耳からの情報といっても過言ではありません。 まずは耳を澄ませて鳴き声で存在に気付きましょう。また、 鳴き声が聞こえなくても、地面の枯れ葉を動かすカサカサとした音にも注意を払ってみましょう。野鳥たちが落 ち葉の下にいる虫を探している音かも知れません。その場に立ち止まって、音のした方を探してみましょう。
写真:鳴き声が聞こえるツツジの植え込みを覗くと、シジュウカラの巣立ち雛を発見!
◼️声のする方を探してみよう
声が聞こえた方向に目を向け、動くものがないかじっと見てみましょう。葉陰や藪の中でじっとしている時の野 鳥を見つけるのは難しいですが、動けば居場所がわかるので、根気よくチャンスを待ちましょう。この時、不用 意に近づいたりせず、できるだけ動かないことがポイントです。追いかけたくなる気持ちは分かりますが、しっ かりと見る前に、遠くに飛び去ってしまいます。
写真:池のほとりで休息するカルガモをスマホでパチリ。公園の鳥は人をあまり怖れないことが多い。
◼️まずは公園で鳥を探そう
まずは公園で鳥を探してみましょう。 公園は小さな児童公園から、 豊かな自然環境を持つ広い公園まで様々です。 広い都市公園の方が野鳥の種類数が多く、見やすいですが、桜などの樹木があれば近所の児童公園にだって野鳥 たちは暮らしています。 買い物や散歩の途中に公園を通りかかったら、「いるかもしれない!」という気持ちを持 って観察してみましょう。 「「スズメ、カラス、ハト」以外にも野鳥たちが暮らしていることにきっと気づけるはず です 。 ここ大都市大阪にもバードウォッチングに適した都市公園が数多くあります。今回はその中から「大阪城公園」 と「花博記念公園」の 2 箇所を簡単にご紹介します。
■バードウォッチングに適した都市公園[大阪編]
【大阪城公園】
大阪城の天守閣を囲むように整備された『大阪城公園』は、大都市大阪の中心に位置する都市公園です。大都市
の中心とは思えないような緑深い公園内では、四季を通して多くの野鳥が観察できます 。
森が広がるエリアでは、 シジュウカラ、ヤマガラ、エナガ、コゲラなどが通年見られ、 春秋の渡りの時期には、 本
来山で見られるセンダイムシクイ、キビタキ、オオルリ、コサメビタキ、コマドリ、コルリなどの夏鳥たちが、
渡りの途中に立ち寄り、多くの野鳥愛好家が集まります。
冬は、 地上の枯れ葉をカサカサとかき分けて採餌するツグミやシロハラ、 年によってはトラツグミやルリビタキ、
樹上ではアトリやシメなどの冬鳥たちが観察できます。
JR 大阪城公園駅近くの森が広がる一帯や音楽堂西側上通路が探鳥ポイントとなっています 。
公園中央の梅林では 2 月頃から梅が咲き、メジロやヒヨドリなどが花の蜜を吸いに訪れます。紅梅や白梅にやっ
てくる小鳥たちは、野鳥カメラマンたちの格好の被写体になります 。
外堀ではカイツブリやアオサギ、 カワウ、ササゴイなどの水鳥が見られます。 冬季には、 キンクロハジロ、ハシビ
ロガモなどのカモ類やユリカモメなどが越冬しにやってきます 。
【花博記念公園鶴見緑地】
大阪市鶴見区に位置する『花博記念公園鶴見緑地』 は、 チューリップやコスモス畑が広がる風車の丘や、 バラ園、
日本庭園などがあり、観光スポットとしても人気の都市公園です。
園中央に位置する大池では、コサギやアオサギが見られ、冬になると、オナガガモやホシハジロ、ヒドリガモ、
オオバンなどが多数飛来します。カモ類は人に慣れており、近距離で観察できます。夏になると、コアジサシや
コチドリがやってきます。
北東エリアにある鶴見新山付近では、ジョウビタキやシジュウカラ、コゲラ、シロハラなどが観察できます。
梅林では、花の蜜を吸いにメジロやヒヨドリがやってきます。
◼️公園で見られる主な野鳥
シジュウカラ:全長約 14cm (スズメくらい)
人家の庭先に顔を出してくれることも多く、土の地面と樹木があれば、たいていの公園で姿を見ることができま す。白い頬と、喉から腹にかけてのネクタイのような黒い帯が特徴です。全国に生息し、一年中見ることができ る、スズメに次いで見やすい小鳥の一種と言えるでしょう。
ヤマガラ:全長約 14cm(スズメくらい)
全国に生息し、公園や山地の林で一年中見ることができます 。シジュウカラよりも樹木の多い場所でよく見られ ます。人懐っこい性格で、比較的近距離で観察できることもあります。愛嬌のある正面顔でファンが多く、写真 集も刊行されています。
ヒヨドリ:全長約 27cm(スズメとハトの間くらい)
ピーヨ、ピーヨと賑やかに鳴きながら、枝にとまっている姿を見ることが多いです。全身グレー系で、頬が茶色 いのが特徴です。ほぼ全国に生息し、一年中見ることができます。花の蜜を好み、春には桜や梅の木にやってき て、嘴まわりを花粉まみれにしている姿を見かけます。
キジバト:全長 約 33 ㎝
よく電線にとまってデーデポッポポーと鳴いている姿を見かけます。山鳩と呼ばれていますが、都心の公園でも 普通に見られます。街中で見かけるドバトと違って、翼の鱗模様と頸の縞模様が特徴です。
メジロ:
全長約 12cm(スズメより小さい)
チーと鳴きながら春先につがいで庭先の梅の木に花の蜜を吸いにやってきます 。オリーブ褐色に目の周りのアイ リングが特徴です 。春から夏にかけてチーチュルチーチュルと美しい囀りを響かせてくれます 。全国に生息し、 一年中見ることができます。
ツグミ:全長約 24cm(スズメより大きい)
日本には 11 月くらいにやってくる冬鳥で、 4 月頃まで見られます。 開けた場所を好むので比較的見つけやすいで す。地上に落ちている植物の実や、虫などの食べ物を探して歩いている姿を見ることが多く、食べては立ち止ま り、胸を張った姿勢で周囲を見回す動作を繰り返します。赤茶色の羽根が目立ちます。
ジョウビタキ オス
ジョウビタキ メス
:全長約 14 ㎝(スズメくらい)
日本には 11 月くらいにやってくる冬鳥ですが、標高の高い地域では繁殖例も増えています。翼に白い斑があり、 オスは胸から腹が橙色でキレイ系。メスは目がクリっとしたカワイイ系でどちらも魅力的です 。 林の周辺や河川敷、市街地の空き地など、やや開けた環境を好み、単独で生活します 。時々ピョコンとおじぎを して尾を震わせる動作もチャーミングで、澄んだ声で「ヒッ、ヒッ」と鳴きます。
ハクセキレイ:
全長約 21cm(スズメより大きい)
九州以北に生息。元来水辺の鳥ですが、芝生や駐車場などの舗装路上でも、食べ物を探して歩き回っている姿を よく見かけます。白い顔で目の前後に黒い線が走っているのが特徴。長い尾を上下に振りながら、チョコマカと 歩き回るカワイイ姿は見飽きません。
コゲラ:全長約 15cm(スズメくらい)
都会のちょっとした公園でも見掛ける一番身近なキツツキの仲間。ギィーと鳴きながら、桜の木の幹をコツコツ とつつきながら上へ上がっていき、隣の幹へ移りまた上へと上がっていく姿をよく見掛けます 。
カワセミ:
全長約 17cm(スズメより少し大きい)
鮮やかなコバルトブルーの背が美しく、カワセミを見て以来バードウォッチングにはまった!という人も多い人 気者です。全国に生息し、都市公園の池などで見られることも多く、水面に突き出た枝から水中を伺い、飛び込 んで魚やエビなどを捕まえて食べます。
カルガモ:
全長約 60cm(カラスより大きい)
全国に生息、他のカモ類はほとんど春には北に渡ってしまうが、カルガモは一年中見られます。ヒナを連れた様 子が、テレビなどで紹介されることもあり、最も身近なカモ類です。一般的には、カモはオスが鮮やかな姿の種 類が多いのですが、カルガモは雌雄の外見がほとんど同じです 。
アオサギ :全長約 90cm(カラスより大きい)
全国に生息、ツルと見間違えるほど長い頸にグレーから青灰色の体色が特徴。川や池で一年中見られます。
コサギ:
全長約 61cm(カラスより大きい)
体が大きく真っ白なサギ類は、遠くにいても見つけやすい野鳥です。川や池にいて首の長い白サギは、たいてい ダイサギかコサギです 。コサギはダイサギの 2/3 ほどの大きさで、足指が黄色いのが特徴です。歩きながら足指 を水中でブルブル震わせて、魚などを追い出して捕まえます。
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■双眼鏡を持ってでかけよう!
野鳥は基本的に近寄らせてはくれません。中にはドバトやカルガモのように、向こうから近寄ってくるような鳥 もいないわけではありませんが、肉眼で見ても「何か鳥がいるなぁ」としか分からないのが大半のシチュエーシ ョンです。 そこで「双眼鏡」の出番になります。 双眼鏡があれば、遠くの枝に止まっている鳥も「「ヒヨドリだ!」とか「「ヤマガラがいる!」と鳥の種類が分かる ようになります。 また、 「「スポッティングスコープ」があると、さらに大きく見ることができます。川の対岸にいる水鳥や尾根の上 を飛ぶ猛禽類といったより遠距離の鳥の識別もできるようになります。 鳥の種類が分かるだけでなく、鳥の表情やしぐさまで楽しめようになるのもスコープの魅力です。 次回は、双眼鏡や望遠鏡などの観察アイテムについてご紹介したいと思います。
レビュー著者: 岩本 多生氏 |